「2020年代は、次世代ネットワークの幕開けになるかもしれない。」
WEB3.0の登場は、多くのエンジニアや仮想通貨に詳しい人たちにそう思わせるほどのインパクトを与えました。
WEB3.0は分散型ネットワークを構築する新しいWEBのシステムで、現在最も注目されている技術の一つです。
しかし一般普及は浸透しておらず、情報もそれほど多く出回っていないことから「WEB3.0って何ですか?」「期待の技術らしいけれど詳しくはよくわからない」といった方が大半かと思います。
本記事では「WEB3.0ってどんなもの?」といった疑問をなるべく分かりやすく解説します。
- WEB3.0の特徴の解説
- 従来のWEBとの違い
- WEB3.0のこれから
この様な内容となっていますので、「WEB3.0について簡単に知りたい!」という方は是非最後まで読んでいってください。
目次
WEB3.0の概要
WEB3.0(ウェブスリーとも言う)は「分散型ネットワーク」と呼ばれる新しい概念で、明確な定義はありません。
一般的にはブロックチェーン、NFT、DeFiといった「最近よく聞く新しい技術」みたいなものを総称して「WEB3.0」といい、現在注目されているネットワークシステムになります。
WEB3.0の始まりは仮想通貨ブームが起きた2018年頃とされていて、初めはビットコインの仮想通貨のネットワークが登場。のちに通貨以外の機能を持ったイーサイアムが開発され、徐々にシステムが拡大していきました。
仮想通貨との関り
WEB3.0は仮想通貨の普及に伴って誕生したと言っても過言ではありません。というのも仮想通貨のデータ(ブロックチェーン)は分散型台帳という「みんなで管理するネットワーク」で運営されていて、この構造はWEB3.0のネットワークそのものだからです。
以下の図をご覧ください。
ネットワークの構成自体は分散型台帳もWEB3.0もほぼ同じであることが分かります。
ブロックチェーンや仮想通貨もWEB3.0の一つとされる背景にはこのような類似性があるからで、いずれはそれぞれが区別されることはなくなるかもしれません。
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WEB3.0の特徴
WEB3.0の特徴は「分散型のネットワークの構築」です。
従来のWEBはサーバーと呼ばれる中央管理者にデータを預け、ここを介して情報を引き出す「中央集権型」の管理システムでした。
WEB3.0では中央集権型管理を脱却するためにサーバーを設置せず、情報をもった端末同士を直接接続することでネットワークを維持する「分散型」の管理システムを採用しています。
分散型管理を採用するメリット主に2つあり、1つは匿名性。もう1つは高いセキュリティ性能です。
このメリットは現在のWEBにおける問題点を解決できることから、多くの企業や個人が注目しています。
WEB3.0のメリット①匿名性
WEB3.0はサーバーに自分の個人情報を提供したり、情報が一か所に集中することがないため、個人情報の流出リスクが低く、匿名性の高いネットワークが構築されています。
現在のインターネットでは様々なサービスが無料で利用できる代わりに、利用者の個人情報や行動履歴などの提供が求められ、サーバー側では「誰が」「いつ」「どのような行動をとったか」などの情報が収集されています。
ちなみにこれはサービスを利用するときに求められるアカウント登録などによって蓄積されたものでハッキングなどで不正に盗まれたデータというわけではないので注意しましょう。
ユーザーのサービス利用によって得られたこれらの情報は、一部の中央管理者に集中する為、管理者にハッキングなどの被害が発生すると大量の個人情報が漏洩してしまうリスクが指摘されていました。
しかしWEB3.0では情報をネットワークに接続した端末で分散管理する構造になっているので、万が一ネットワーク内の端末がハッキングされたとしても、その情報から個人を特定することはほぼ不可能とされています。
この様にWEB3.0は匿名性の高いネットワークを構築することが可能で、クレジットカード情報や、マイナンバーなどの重要度が高いデータも安全に管理できる点から新しいネットワークインフラとしての利用が期待されています。
ネットワークの匿名性について
「インターネットってそもそも匿名性が高いものじゃないの?」「匿名の悪質な書き込みが問題になっていたけれど?」と疑問を持たれた方もいるのではないでしょうか?
結論から言えばこの場合の匿名性とは、「末端のユーザー間では個人情報が特定できない」という限定的な状態を指していて、サーバーサイドでは誰がどんな内容を書いたのかをすべて把握しています。(厳密には異なりますが解説のために大まかな説明をしています。)
以下の画像は掲示板サイトを例にした中央集権型のネットワーク構造です。
ユーザー間はネットの掲示板を挟んで書き込まれた情報のみが閲覧できるため、誰が書き込んだのかは分かりませんが、サーバー側では誰が書き込んだのかわかる状態となっています。
つまり現在のインターネットは構造全体を通してみれば、匿名性の高いネットワークとはいえず、このような中央集権型のデータ管理方法を問題視する人もいます。
WEB3.0のメリット②高いセキュリティ性能
WEB3.0は高いセキュリティ性能を持っており、データの改ざんや、不正アクセスに強い仕組みとなっています。
WEB3.0は分散型のネットワークを構築しており、データの取り扱いはブロックチェーンによって行われます。
ブロックチェーンは複数のデータを「ブロック」としてまとめ、1本のチェーンで繋がれた構造をしており、ブロックの前後関係は暗号によって正しく認識されています。
この構造の利点は、「ブロックの途中に新しいブロックを割り込ませることができない」という点です。
ブロックチェーンは新しいデータを追加する際、ブロックの前後関係の整合性を複数の参加者(ノード)で承認しています。
そのため、1人の参加者が途中でブロックのデータを改ざんしたとしても変更は承認されず、不正なデータを割り込ませることができない為、高いセキュリティ性が保たれています。
実際に大手金融機関では銀行内でのネットワークをブロックチェーンに置き換えることで、取引台帳の不正な書き換えを防ぐ方法を取っているところもあります。
この様にブロックチェーン技術を利用したWEB3.0は今後、重要なデータを管理するネットワークでは多く使われる技術となることが予想されます。
ブロックチェーンに関する詳細な記事はこちら
WEB1.0とWEB2.0
では従来のWEBとはどのようなものだったのか、WEB1.0、WEB2.0の紹介とWEB3.0に置き換わりつつある背景を解説します。
WEB1.0
WEB1.0とはインターネット黎明期のWEB構造でユーザーはインターネットの情報を検索、もしくはURLを入力して情報を閲覧していました。YahooやGoogleなどのサービスが誕生したのもこの時代です。
WEB2ページを作成するエンジニアやデザインを手掛けるクリエイターからユーザーへ、一方通行のサービスが多く情報の閲覧が主な利用方法でした。
WEB2.0
WEB2.0は現在のインターネット環境の世界です。
WEB1.0ではホームページを制作するクリエイター側と、それを閲覧するユーザーに分かれていましたが、誰でもクリエイターになることができて、情報の発信者になれるようになったのがここからです。
WEB2.0ではTwitterやインスタグラムなどのSNSやYouTubeなどの動画配信サービスが登場しました。
また、ユーザーに提供されるサービスはリッチなものとなり、ただ情報を閲覧するホームページから、情報の発信や、体験型のプラットフォームへと進化していきました。
Googleが提供するGoogleストリートビューは、現地に行かなくても実際の街並みを散歩しているかのような体験を得られるため、WEB2.0を代表するリッチなページと言えます。
ただ同時に一部の管理者に膨大なデータが集中してしまうことから、プライバシーや情報管理についての問題が議論されていますが、現在まで根本的な解決には至っていません。
WEB3.0に移り変わる背景
WEB2.0では情報が集中している一部の企業、つまりプラットフォーム企業に主導権があります。
例えばあるクリエイターがYoutubeでとても面白い健全な動画を公開したとしましょう。ですがある日突然Googleの利用規約が変更され、動画が削除されました。
クリエイターは動画の広告収入で生計を立てていたため、人気動画の削除に不服を申し立てたとしてもYoutubeのプラットフォームを利用している以上、Googleに逆らうことはできずに削除された動画の分の収益は得られなくなります。
反対にどんなに不人気な動画でも、プラットフォームを提供している企業がタイアップしたいと思えば内容はどうあれ常に広告・宣伝が流れるので大きな収益が発生します。
この様にプラットフォーム企業に主導権があると、クリエイターの収益は作品の良し悪しに関わらず企業側にコントロールされ、適切な報酬を受け取ることができない場合もありました。
この状態にストップをかけたのがブロックチェーンやNFTの存在です。
NFTなどは特定のプラットフォーム企業に依存せず作品を発信できることから、クリエイターを中心に活動の場をWEB3.0へ移す人が増えてきました。
魅力的なクリエイターがWEB3.0へ移動すれば面白いコンテンツを求めるユーザーも必然的にWEB3.0へと移行を始めるでしょう。
WEB2.0からWEB3.0へ移り変わる背景には、こういったユーザーニーズの大きな変化も要因の一つとなっています。
WEBの移り変わりについて、さらに詳しい記事はこちら
WEB3.0を使ったサービス
WEB3.0を使ったサービスで代表的なものはやはりブロックチェーンでしょう。中でもDeFiのような分散型金融や、プライバシーへの配慮にこだわったサービスはこれからもますます発展していくと考えられます。
DeFi
DeFiはブロックチェーンを利用した金融システムで、銀行などの第三者を介さずユーザー間が直接取引をすることができます。
このシステムは国を越えた仮想通貨の送金やNFTの取引を匿名で低コストに行うことができ、プライバシーの保護や取引の利便性向上といったメリットがあります。
法定通貨の国際間取引は手数料も高く、時間もかかっていましたがDeFiを利用すれば非常に安い手数料で即時取引が反映されるため利用者は増加傾向にあります。
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Brave
BraveはWEB3.0ブラウザとして注目されていて、その特徴は高いプライバシー保護性能です。
従来のWEBブラウザは検索履歴を蓄積し、ユーザーに興味がありそうな広告を自動で表示していましたが、Braveを利用するとそのような広告が一切表示されないようになります。
Braveでも広告表示機能はありますが、このブラウザで広告を閲覧すると閲覧者にはBATというBraveの固有トークンが付与される「Brave Rewards」という機能が存在します。
このブラウザの登場により、WEBの広告は、「広告を見たら企業にお金が入る仕組み」から「企業はお金を払って広告を見てもらう仕組み」へと変化し、企業はよりユーザー目線のサービスが求められるようになっていくでしょう。
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【まとめ】WEB3.0は未来のインターネット
WEB3.0の紹介は以上です。現在のWEBは2.0から3.0への過渡期にあたります。
WEB3.0は民主的で魅力的なネットワークシステムですが、分散型の管理の新しい問題が発生することは避けられませんし、デメリットもまだ多く存在します。
それでもメタバースやNFTなど今までの生活では考えられなかったデジタルの財産が身近になる世界はそこまで来ていて、日常に大きな変化をもたらす日も近いのではないでしょうか。
WEB3.0は未来のインターネットで、私たちの生活を豊かにすることは間違いありません。新しいものをただ恐れるのではなく、正しい知識を身に付けて変化する時代の波に乗り遅れないようにしたいですね。