三角持ち合いの一つである上昇ウェッジや下降ウェッジというテクニカル分析をご存じでしょうか?
「聞いたことはあるけれど、実際に意識して分析したことはない」
「実際に使ってみたけれどあまり機能しないように感じる」
トレンドライン2本で構成されるウェッジはシンプルな分析方法で、誰にでも簡単に分析できます。
しかしそのシンプルさゆえにテクニカル分析の中でも軽視されたり、あまり注目して検証されないケースが目立ちます。
しかしウェッジはシンプルでありながら複雑なインジケータを複数組み合わせた時と同じくらいの情報量を持っていて、単体で強力な環境認識が行える唯一のテクニカル分析です。
本記事ではウェッジの基本パータンである上昇ウェッジと下降ウェッジについて詳しく解説していきます。
- ウェッジについてよく知りたい
- ウェッジの有効な使い方を知らべている
- テクニカル分析の新しい手法勉強している
この様な疑問を解決できる内容となっていますので是非最後まで読んでいってください。
目次
上昇ウェッジ・下降ウェッジとは
ウェッジとはレジスタンスラインとサポートラインが同一のトレンド方向に伸びていて、そのレンジ(値幅)が徐々に狭くなっていくチャートパターンを言います。
このウェッジを形成するパターンのうち上昇しながらウェッジが完成するパターンを上昇ウェッジ。下降しながらウェッジが完成するパターンを下降ウェッジと言います。
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上昇ウェッジ・下降ウェッジの使い方
ウェッジの基本的な使い方は上昇も下降も同じで、「次のトレンドの発生起点を探す環境認識」です。
ウェッジとは相場の価格のもみ合いを指していて、ウェッジの形成パターンにより次に発生するトレンドの強さがおおよそ判断できるテクニカル分析です。ウェッジ発生後のトレンドの強さとウェッジの形成パターンの関係は以下のように考えられます。
つまりウェッジとは「次のトレンドが発生する為のエネルギー充填期間」とも考えることができ、その期間が長いほど、またはレンジの幅が広いほど、大きなエネルギーを貯めているということになります。
なのでウェッジを使うときにはブレイクして伸びるトレンドの方向を予想するのではなく、「ブレイクした場合そのトレンドはどれほどのエネルギーを持つのか」について考える意識を持つことが重要です。
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上昇ウェッジについて
上昇ウェッジとはトレンドラインが上向きのウェッジの形状です。
上昇ウェッジは現在の相場環境が上昇トレンドでも下降トレンドでも発生します。
ウェッジをブレイクする方向に優位性はないのでブレイクするまではエントリーを見送るのがセオリーです。ただ上昇トレンドの最中に発生し、かつ上方向にブレイクした場合には、強い上昇トレンドに発展する傾向があります。
どの程度の強さになるのかは先程のウェッジの形状とトレンドの強さの関係の図を参考にしていただければと思います。
強い上昇トレンドが発生するウェッジの例
強い上昇トレンドが発生しやすい上昇ウェッジのパターンを1つご紹介します。
これはウェッジの始まりのレンジが広く、ブレイク前にダマしのようなサポート抜けが発生するとその後の上昇が強くなるパターンです。
ダマしが発生した分、本来のウェッジよりも大きなエネルギーが溜まったためにブレイク後のトレンドが強くなった結果と考えることができます。
レンジの幅が狭いウェッジでもこの傾向はみられますが、もともと持っている上昇へのエネルギー量が少ない場合が多いので、あえて狙う必要はないかもしれません。
下降ウェッジについて
下降ウェッジとはトレンドラインが下向きのウェッジのことを言います。
考え方や傾向は上昇ウェッジのほぼ反対と認識していただければ問題ありません。
こちらもブレイクする方向に優位性はありませんが、下降トレンドの最中に発生し、下方向にブレイクした際は強い下降トレンド発生に期待できます。
しかし相場において下降は上昇に比べてスピードが速く、ウェッジで十分にエネルギーを貯められない場合も多くあります。
無理にブレイクの方向を予測して飛び乗らずに慎重な状況判断を行うことも戦略の一つです。
下降ウェッジの活用例
下降ウェッジは下降トレンドの後半で発生している場合にはトレンド転換を判断する材料になります。
ある程度下落を続けた後のもみ合いは新規の買い注文による圧力であることが多く、下落の力の低下も相まって大きなウェッジに発展する可能性が高まります。
注意したいポイントは実際にブレイクするまではトレンドがどちらに伸びるか判断が付かないという点ですが、もし上方向にブレイクした場合はトレンド転換を示唆していると判断することができます。
発生頻度はとても低いチャートパターンですが、発生時には信頼度の高いトレンド転換のシグナルとなるので覚えておくと役立つ場面があるかもしれません。
上昇ウェッジ・下降ウェッジの書き方
ウェッジは実際のチャートではキレイに描けることが少なく、大まかにトレンドラインを描写することがウェッジを描くコツになります。
慣れないうちは以下の4点に注目してトレンドラインを引くことでウェッジを描く練習をしましょう。
手順①トレンドの押し目や戻り目に注目する
ウェッジは値動きのもみ合いに対してラインを引くテクニカル分析なので、まずはトレンドに対して逆行した値動き(押し目や戻り目)に注目します。
押し目や戻り目をきっかけに価格がもみ合うことはよくあるので、まずは起点となるポイントを見つけましょう。
手順②トレンド方向への値動きが鈍化しているところを探す
次はトレンド方向の値動きが鈍化しているポイントを探します。
上昇トレンドであれば高値の更新、下降トレンドであれば安値の更新が鈍化していきます。以下では上昇パターンでの例を取り上げました。
手順③見つけたそれぞれのポイントをトレンドラインで結ぶ
最後はトレンドラインを引く作業です。
手順①と手順②で見つけたポイントにそれぞれトレンドラインを引いて2本の角度差からレンジが収束していくような形を描くことができればウェッジの完成です。
今回は非常に分かりやすいチャートパターンを例に挙げましたが、実際には分かり難い形状であることがほとんどです。上手にウェッジを描くにはある程度の経験が必要なので、まずは大まかにウェッジを描くことを意識してなるべくわかりやすいポイントで実践してみてください。
実際のチャートを用いた上昇・下降ウェッジのパターン
ここからは実際のチャートを用いてウェッジのパターンを4種類紹介します。
- 上昇トレンド中の上昇ウェッジ
- 下降トレンド中の上昇ウェッジ
- 上昇トレンド中の下降ウェッジ
- 下降トレンド中の下降ウェッジ
それぞれどのような特徴があるのか、またブレイク後はどうなったのかを合わせて解説していきます。
パターン①上昇トレンド中の上昇ウェッジ
2005年4月~2005年12月のUSD/JPY日足チャートです。
上昇ウェッジのブレイク後にトレンドが大きく上に伸びていることが分かります。
このパターンは先ほどの「強い上昇トレンドが発生するパターン」に酷似していて、ブレイク前にサポートを少しだけ下抜けてダマしが発生しました。
ブレイク後にトレンドが続いた期間はピークまで約3か月間。ウェッジのブレイクがとても長いトレンドの起点になっていたことが確認できたかと思います。
パターン②下降トレンド中の上昇ウェッジ
2020年9月のGBP/JPY1時間足のチャートです。
下降トレンド中に発生した上昇ウェッジがトレンド転換の起点にならずに、再度下落方向にブレイクしたパターンです。
こちらの画像もご覧ください。
このチャートは先ほどの下落トレンドのすぐ後に発生した上昇ウェッジです。
今度は上昇トレンドへ転換の起点になっていることが分かります。
ブレイク後のチャートの推移を見れば両者の違いは一目瞭然ですが、リアルタイムでチャートが形成されている時点ではどちらにブレイクするか分かりません。
それぞれのチャートからウェッジの部分のみを抜き出して比べてみるとなおさら違いの判別が困難であることがお分かりいただけたでしょうか。
この様にトレンドに逆らった形のウェッジは、ブレイク方向の判断が困難なため、基本的にはエントリーを避けるポイントとして活用するといいでしょう。
パターン③下降トレンド中の下降ウェッジ
2020年2月のGBP/JPY1時間足チャートです。
パターン①の上昇ウェッジと反対にブレイク後をきっかけに下落が加速していることが分かります。このチャートではダマしなどは発生せず、きれいに下落していますが、もちろんダマしが発生するパターンもあるので注意が必要です。
しかしトレンド方向と揃っているウェッジは「強いトレンド発生の起点になる」という傾向は上昇も下降も変わらないので、もし見つけた時にはブレイクする方向に要注目です。
パターン④上昇トレンド中の下降ウェッジ
2016年12月~2017年9月のGBP/JPY4時間足のチャートです。他に比べてかなり長期間のデータですが同じようにウェッジを確認することができます。
上昇トレンド中に下降ウェッジが発生した場合もパターン②と同じくブレイク方向に優位性はありません。
今回の例では上方向にブレイクして上昇トレンドが継続していますが、トレンド転換の起点ともなるので発生を確認できた場合はその後の値動きに注目しましょう。
上昇・下降ウェッジと組み合わせると相性のいいインジケータ
ウェッジ単体でもテクニカル分析を行うことは十分に可能ですが、売られ過ぎ買われ過ぎを示す「RSI」というインジケータを併用するとさらに詳細な環境認識が可能になります。
相場は売られ過ぎや買われ過ぎといった極端な需給の崩れに対して元に戻ろうとする力が働く習性があり、RSIはその動きを数値化したものです。70を超えると買われ過ぎ、30を下回ると売られ過ぎと判断します。
上記の例ではウェッジをブレイクしたタイミングでRSIが売られ過ぎを表す30を示しています。この場合は、その後のトレンドが伸びにくい傾向にあります。
理由はブレイクの瞬間から売られ過ぎのサインが出てしまうと、相場は元に戻ろうとする力が強く働くので、ウェッジで貯めたエネルギーを相殺してしまうからです。
今度は反対にブレイクの瞬間が買われ過ぎにヒットしなかったパターンです。この場合高いエネルギーを持ったままブレイクを達成しているので、その後もトレンドが継続していく傾向があります。
この様にブレイクしたトレンドの強さをチャートパターンの形状と数値の双方から確認することで環境認識の精度が向上し、トレード戦略の幅が広がります。
今回紹介した組み合わせインジケータはほんの一例ですので、ぜひ自分だけの組み合わせを検証してみてください。
【まとめ】上昇・下降ウェッジは環境認識に対して強力な分析ツール
上昇ウェッジ、下降ウェッジの解説は以上になります。環境認識に大きな力を発揮するテクニカル分析「ウェッジ」は使いどころが分かってくると様々な場面で応用が利くようになります。
例えば保有していたポジションが大きなウェッジの中に入ってしまった場合、ポジション清算の判断材料の一つにする方法もあります。
こうすることでウェッジがブレイクしたタイミングで発生する予期せぬ損失を回避することが可能です。
反対に大きなウェッジではダマしを承知の上でブレイクのタイミングを狙ったエントリーも、成功すれば大きな利益を生む手法になります。
ウェッジは使い方や捉え方で攻めにも守りにも使えるテクニカル分析であり、その汎用性は数あるテクニカル分析の手法の中でもトップクラスです。
まだ使ったことがない、という方はぜひこの機会に一度デモトレードで検証してみてはいかがでしょうか?
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