仮想通貨やFXのテクニカル分析手法として有名な「ダイヤモンドフォーメーション」をご存じでしょうか。
「知ってはいるけどうまく使えない」
「そもそもよくわからない」
「本当に有効なの?」
確かにダイヤモンドフォーメーションは出現頻度も低く、あまりメジャーな分析方法ではないために、そのように思う方も多いかもしれません。
ですがダイヤモンドフォーメーションはコツを掴めば誰でも簡単に使うことができて、非常に汎用性の高い分析方法です。
本記事ではダイヤモンドフォーメーションの考え方や使い方などを丁寧に解説し、実際のチャートパターンから分析方法の一例を紹介します。
「有効なテクニカル分析を勉強したい」、「ダイヤモンドフォーメーションを使えるようになりたい」そんな方は是非最後まで読んでいってください。
目次
ダイヤモンドフォーメーションとは
ダイヤモンドフォーメーションとはテクニカル分析の一つで、4本のトレンドラインで構成され、その形状がひし形、もしくは平行四辺形のチャートパターンを言います。
一般的にダイヤモンドフォーメーションは相場の売り買いが盛んに行われているところで多く発生し、フォーメーションの終点からブレイクした方向にトレンドが発生する傾向があります。
ダイヤモンドフォーメーションは相場全体の環境を認識するテクニカル分析の一つで、ピンポイントでエントリーポイントを計ることはできませんが、トレンドの継続判断や、エントリーに適する環境なのかを判断するにはかなり有効な分析手法になります。
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ダイヤモンドフォーメーションの使い方
ダイヤモンドフォーメーションは実際のチャートパターンでキレイに発生することは稀で、大まかにそのパターンをとらえる必要があります。
なのでこのテクニカル分析を使うときはトレンドラインの引き方よりも「なぜダイヤモンドフォーメーションが形成されるのか」という基本的な考えを念頭に入れてから分析を行うと効果的です。
ダイヤモンドフォーメーションは2つのチャートパターンの組み合わせ
ダイヤモンドフォーメーションは前半と後半の2つのチャートパターンから構成されていて、前半が「メガホン」。後半が「三角持ち合い」と見ることができます。
したがってダイヤモンドフォーメーションを使うにはメガホンの性質と、三角持ち合いの性質の2つを理解することで、より精度の高い分析が可能になります。
メガホン(ブロードニングフォーメーション)
メガホンは高値も安値も更新しながら値幅が広がっていくトレンドパターンを言います。トレンドラインを引くとメガホンのような形を描くことからその名前が付きました。
このパターンは最終的にはレジスタンスかサポートをブレイクし、トレンドが発生するのですが、ブレイクできずにレンジに収束してしまうこともあります。
メガホン形成の要因は主に短期の上昇トレンドと下降トレンドの繰り返しによるもので、方向感が定まっていないときに多く発生するイメージです。
三角持ち合い(トライアングルフォーメーション)
三角持ち合いはメガホンとは反対に高値と安値を更新せず値幅が小さくなっていくトレンドパターンを言います。トレンドラインを引くと三角形に見えることからこの名前が付きました。
類似パターンにウェッジやアセンディングトライアングル、ディセンディングトライアングルなどがあります。
この三角持ち合いの発生は次のトレンドに向けて力を貯めているようなイメージで見ると効果的です。値動きの縮小はポジションの清算が原因になっていることが多く、新規のポジションを待っている状態と考えることができます。
三角持ちあい、アセンディングトライアングル、ディセンディングトライアングルに関する記事はこちら
ダイヤモンドフォーメーションは天井、底値で発生すると見つけやすい
ダイヤモンドフォーメーションは天井や底値付近で発生しているものに注目すると見つけやすくなります。
例えば天井付近でメガホンになっていた場合、一定のところから高値を更新できなくなる場面があるはずです。するとこの時のチャート形状は以下のようになります。
この場合すぐに下降トレンドになることもありますが、「まだトレンドが続く派」と「もうトレンドが終わる派」の思惑が入り乱れると値動きが膠着。値幅が小さくなっていきます。
こうなると高値と安値の更新が少なくなり、三角持ち合いを形成。次のトレンド発生につながっていきます。
これは天井付近の例ですが底値付近ではこれと全く反対の動きをします。
ダイヤモンドフォーメーションを使うときの注意
ダイヤモンドフォーメーションはダマしが多く発生する分析手法であることに注意が必要です。
ダイヤモンドフォーメーション終点では新規のトレンドが発生することも多く、次のトレンドを当てることができれば大きな利益を得られる期待感から先を急いだエントリーをしてしまいがちです。
しかしダイヤモンドフォーメーションから次のトレンド発生方向に優位性はなく、安易なエントリーはダマしによって大きな損失を発生させてしまうかもしれません。
ダイヤモンドフォーメーションはエントリーポイントを探す分析方法ではなく、相場環境を分析する手法であるということを再確認しておきましょう。
ダイヤモンドフォーメーションの基本4パターン
ダイヤモンドフォーメーションは以下の4つのパターンに分類されます。
- 天井型
- 底型
- 上昇型
- 下降型
それぞれの特徴と基本的なエントリーのタイミングをそれぞれ解説します。
天井型
天井型のダイヤモンドフォーメーションは上昇トレンド中に発生し、ダマしが頻発することからエントリーのタイミングに注意したい形状です。
上記のイメージは天井を付けた後に素直に下落したパターンです。①でサポートをブレイクしたと判断して売りポジションを持ってしまうと、前回安値のラインにはじかれて一度価格が戻ってしまう場合があります。
この場合は一度ブレイクした後の戻りが、ブレイクした切り上げのサポートラインを越えないことを確認して、②を目安にエントリーするとダマしに合いにくくなります。
但しここまで素直な下落トレンドへの転換はあまりないので、見つけたら大チャンスかもしれません。
底型
こちらは天井型と反対の形状で、下降トレンドの最中に発生します。こちらもダマしが頻発するので注意が必要です。
底型は、慎重にエントリーの判断をする必要があります。例えば①の地点でサポートをブレイクしたので底値はまだ下のように思えますが、前回の安値で一度下落がストップ。
一度上昇した後②の直近最安値を越えられなかった時、トレンドの底が判断できます。つまりブレイク時点ではまだ底かどうか分からないということになります。
仮にフライングで①で買いポジションを入れた場合、②の含み損に耐えられずに損切をしてしまえば折角の上昇トレンドを逃してしまいますし、底打ちをしていないと判断して、②で売りポジションを入れるとエントリー直後から逆行します。
FXや仮想通貨は上昇スピードに比べて下落スピードの方が速い場合が多く、下降トレンドに対しての逆張りはリスクが高めです。
底型が慎重にエントリーしなくてはならない理由はこのような性質によるものです。
上昇型
上昇型は上昇トレンドの最中に発生し、トレンドの調整部分で多く発生する傾向にあります。
特徴はダイヤモンドフォーメーションの後半部分の三角持ち合いが「アセンディングトライアングル」に近い形になることです。
強い上昇トレンドで発生することが多く、このパターンが確認されたときには順張りのエントリーが基本になります。
ダマしが発生した場合には天井型のチャートパターンとも見えるので、過信は禁物ですが、長期足のトレンド序盤で確認できた時の信頼度は高めです。
アセンディングトライアングル(アセトラ)
レジスタンスがほぼ水平でサポートの安値が切り上がっているトレンドラインのことを言います。一般的にはレジスタンスをブレイクすると強い上昇トレンドが発生します。
下降型
下降型は下降トレンドの最中に発生し、トレンドの調整部分で多く発生する傾向にあります。
特徴はダイヤモンドフォーメーションの後半部分の三角持ち合いが「ディセンディングトライアングル」に近い形状をしていることです。
下降トレンドが一段落してから発生することが多く、その後の下降が緩やかになる傾向があります。
この後も下降トレンドが続くのか、それともトレンドの終盤に位置しているのかは相場全体から判断する必要がありますが、もし勢いよくサポートをブレイクするようなら飛び乗りで売りポジションを入れる手もあります。
ディセンディングトライアングル(ディセトラ)
アセトラと反対にサポートラインが平行レジスタンスラインの高値が切り下がっているトレンドラインのことを言います。
サポートをブレイクすると下方向に強くトレンドが伸びる傾向にあります。
実際のチャートを用いたダイヤモンドフォーメーションの例
ダイヤモンドフォーメーションは実際のチャートでは分かりやすく出現することは稀で、目印となるポイントを決めながら判断していきます。
以下ではダイヤモンドフォーメーションの4パターンをそれぞれ実際のチャートを用いて解説します。
天井型のダイヤモンドフォーメーション(実際のチャート)
チャートは1月6日のGBP/JPYの15分足チャートです。
上昇トレンドが終了し、①の部分でサポートラインをブレイク。最安値を更新して戻り目を付けていることが分かります。
このチャートでダイヤモンドフォーメーションを見つけるときに注目するポイントは最高値と最安値(A点とB点)を起点にトレンドラインの向きが変化しているところです。
トレンドラインの向きが変わるポイントを見つけることでダイヤモンドフォーメーションの分析精度が格段に向上するので、慣れないうちはまずはこの点を意識して分析してみましょう。
底型のダイヤモンドフォーメーション(実際のチャート)
チャートは3月3週目のGBP/JPYの4時間足のチャートです。
こちらは底型のダイヤモンドフォーメーションを描いているパターンになります。
このチャートで注目のポイントは天井型と同じくA点とB点を起点にトレンドラインの向きが変わっていることと、ダマしが発生している点です。
①でレジスタンスをブレイク後にB点の高値を更新できず②で下落。前回安値である③の地点で一度反発した後④まで下落し、その後上昇しています。
この様に底型のダイヤモンドフォーメーションは本格的な上昇を見せる前に一度最安値付近まで下落することが多くあり、レジスタンスをブレイクしたと同時にエントリーすると一時的に大きな含み損を抱えるリスクがあります。
底型の反発を狙う場合はダイヤモンドフォーメーションと安値の更新がないことの2つを確認してからエントリーするといいでしょう。
上昇型のダイヤモンドフォーメーション(実際のチャート)
チャートは2005年の7~8月のUSD/JPYの日足チャートです。
上昇型のダイヤモンドフォーメーションは上昇トレンドの調整期で発生することが多く、実際のチャートでは形状判断が難しいチャートパターンになっています。
上昇トレンドの前半でこのダイヤモンドフォーメーションが確認できた場合はその後もトレンドが伸びていく傾向が強く積極的に取り入れたい分析手法です。
分析のコツは以下の2点。
- 起点のA点と安値のB点が同じ価格帯であること
- フォーメーション起点のA点と終点のA’点を結んだ直線が右肩上がりであること
この2つに注目することで上昇型のダイヤモンドフォーメーションの分析が非常に容易になります。しかし出現頻度があまり高くないことからこればかりに意識して分析を集中してしまうと機会損失にもつながるので、「もし見つけたらチャンス」くらいの認識で十分です。
下降型のダイヤモンドフォーメーション(実際のチャート)
チャートは2007年8月~2008年2月のUSD/JPYの日足チャートです。
下降型のダイヤモンドフォーメーションも上昇型のダイヤモンドフォーメーションと特徴は酷似していて下降トレンドの最中に発生することがほとんどです。
上昇型との違いはトレンド序盤にダイヤモンドフォーメーションが確認できてもその後のトレンドの継続に優位性があまり見られない点です。
この違いは恐らく上昇と下降でトレンドの形成スピードが異なることが原因と考えられますが明確な根拠はないので下降型の特徴の一つとして捉えていただければと思います。
【まとめ】ダイヤモンドフォーメーションは環境認識に最適なテクニカル分析
ダイヤモンドフォーメーションに関する解説は以上です。
ダイヤモンドフォーメーションは環境認識を行うテクニカル分析の中でも比較的精度の高い分析方法になります。しかし実際にはきれいなダイヤモンドフォーメーションを描くことは珍しく、最初は使い方にコツが必要です。
なのでこれからダイヤモンドフォーメーションを分析に取り入れようという方は以下の順序で分析を進めていくことをお勧めします。
- 天井型のダイヤモンドフォーメーションを見つける
- 上昇型のダイヤモンドフォーメーションを見つける
- 底型のダイヤモンドフォーメーションを見つける
- 下降型のダイヤモンドフォーメーションを見つける
この順序であればよりダマしの少ない順番でダイヤモンドフォーメーションを分析することができるので、ぜひ試してみてください。